千葉県鋸南町における都市交流施設のプロポーザル。駐車場の不足や子育て世代の方が安心して利用できる環境、地場産業の更なる発展が求められており、これらの改善が喫緊の課題であった。
私たちは、町の持続的な発展のために単なる観光地を超えた新しい人々の関係性をつくる拠点をつくりたいと考えた。観光客のための機能だけでなく、地域の人々のための機能も与え、それらが部屋単位でなく汽水域のように緩やかに広がっていくプランを提案した。また、町の風景となっている鋸山を望むことができるように南北に長い広場を計画し、微地形を生かした造成計画をすることでドッグランやバーベキュー場などのコンテンツを生み出した。隣接する保田小学校からは、あずまや回廊と呼ばれるデッキを通ってアクセスでき、旧幼稚園校舎は短手方向に構造補強を施すことで、既存建物を最大限有効利用できる計画とした。さらに、シェア農具やレンタサイクル、レンタル登山グッズなどを提供することで、敷地内だけでなく町全体に活動が広がっていく風景を思い描いた。
鋸南町は房総半島に位置し、台風被害や地震による津波被害も多く、敷地を訪れた2021年にも数年前の台風15号の爪痕が多数散見された。十分な防災計画に加えて、日常的に使える地域の交流拠点を町の中心地に配置することで、緊急時にも対応できる地域ネットワークを育てていくことが重要である。
概要
プロジェクト名称:鋸南町都市交流施設周辺整備設計業務委託プロポーザル
所在地:千葉県鋸南町
用途地域:都市計画区域外無指定
用途:交流施設
構造:木造 / 規模:平家建
敷地面積:9410.61㎡
応募期間:2021年2月5日~2021年3月30日